脂質制限ダイエットのやり方とは?効果・注意点・正しいメニューを医師が解説

一般的なダイエット法
脂質制限ダイエット

「脂質を減らせば痩せられると聞いたけれど、実際にどのくらい減らせばよいのか分からない」「糖質制限とどちらが自分に合っているのか知りたい」と感じている方は多いのではないでしょうか。

脂質制限ダイエットは、食事に含まれる脂質の量を意識的に抑えて摂取エネルギーをコントロールする食事法です。ただし、やみくもに脂質を減らすと、栄養バランスが崩れたり、体調に影響が出たりすることもあります。

本記事では、脂質制限ダイエットの仕組みや具体的なやり方、糖質制限ダイエットとの違い、注意しておきたいポイントについて整理して解説します。

確認したいポイント結論詳細
脂質制限ダイエットは本当に痩せるのか?摂取エネルギーを抑えれば効果が期待できる脂質は1gあたり9kcalとエネルギー量が高く、量を抑えることで摂取エネルギーを調整しやすくなる。
糖質制限ダイエットとどちらが効果的なのか?体質や生活習慣によって向き不向きがある減量の仕組みが異なるため、こってり系が苦手な人は脂質制限、主食を控えやすい人は糖質制限が続けやすい。
脂質制限ダイエットで注意すべき点は?極端な制限は栄養不足や体調不良を招く恐れがある脂溶性ビタミンの吸収低下やリバウンドにつながることがあるため、量と質のバランスを意識する必要がある。

この記事でわかること

  • 脂質制限ダイエットの基本的な仕組みと考え方
  • 1日の脂質摂取量の目安と食事の工夫のしかた
  • 糖質制限ダイエットとの違いや向き不向き
  • 脂質制限ダイエットのメリットとデメリット
  • 脂質制限で結果が出ないときに見直したいポイント

脂質制限ダイエットとは何か

脂質制限ダイエットとは、食事に含まれる脂質の量を意識的に抑えることで、摂取エネルギーをコントロールし、体重の変化につなげようとする食事法です。

3大栄養素のうち、脂質は1gあたり約9kcalと、糖質やたんぱく質(1gあたり約4kcal)に比べてエネルギー量が高いのが特徴です。そのため、揚げ物や脂身の多い肉、バターなどを控えるだけでも、摂取エネルギーを抑えやすくなります。

脂質制限ダイエットのポイントは、脂質を完全にゼロにするのではなく、量と質のバランスを意識することです。脂質は細胞膜やホルモンの材料になるほか、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)の吸収を助ける役割も担っています。

農林水産省の資料によると、日本人の食事摂取基準(2025年版)では、脂質から摂取するエネルギーの割合(脂肪エネルギー比率)の目標量を、1歳以上の男女で総エネルギーの20%以上30%未満としています。しかし、令和5年の国民健康・栄養調査では、脂肪エネルギー比率が30%を超えている人の割合は、20歳以上の男性で約37.4%、女性で約46.4%にのぼるとされています(参考:農林水産省「脂質のとりすぎに注意」)。

このように、日常的に脂質を摂りすぎている人は少なくないため、脂質制限ダイエットは食生活を見直すきっかけとして選ばれることが多い方法です。

また、脂質のとりすぎは体重の増加だけでなく、内臓脂肪の蓄積や脂質異常症など、生活習慣病のリスクを高める要因の一つとしても知られています。体重の数値だけでなく、体脂肪や内臓脂肪の状態とあわせて食生活を見直す視点を持つことも大切です。

食事の脂質を見直す際は、外食やコンビニ食で使われがちな油の種類や調理法にも意識を向けると、日々の摂取量をより把握しやすくなります。


脂質制限ダイエットのやり方

1日の脂質摂取量の目安

脂質制限ダイエットを行う際は、まず1日にどのくらいの脂質を摂っているかを把握することから始めます。

一般的に、脂質制限ダイエットでは、総摂取エネルギーに占める脂質の割合を20%前後まで下げることが目安とされています。たとえば、1日の摂取エネルギーが1,800kcalの場合、脂質からのエネルギーを20%に抑えると、脂質量はおよそ40g程度が目安になります。

ただし、脂質を極端に減らしすぎると、脂溶性ビタミンの吸収が悪くなったり、肌や髪の乾燥につながったりすることがあるため、下限を大きく下回らないよう注意が必要です。

自分に合った目安量は、年齢や活動量、体格によって異なります。年代による体重の目安については、女性の標準体重は年齢別でどう違う?でも紹介していますので、あわせて参考にしてみてください。

具体的な食事メニューの工夫

脂質制限ダイエット中の食事では、調理法や食材の選び方を工夫することで、無理なく脂質量を抑えられます。

たとえば、揚げる・炒めるといった調理法よりも、蒸す・茹でる・焼くといった油を使わない調理法を選ぶと、脂質量を抑えやすくなります。肉は脂身の少ない部位(鶏むね肉やささみ、赤身肉など)を選び、皮を取り除くのも一つの方法です。

魚を選ぶ際も、脂ののった部位より白身魚などあっさりした種類を中心にすると、脂質量を抑えながらたんぱく質をしっかり確保しやすくなります。

また、マヨネーズやドレッシング、バターなどの調味料にも脂質が多く含まれているため、量を調整したり、ノンオイルタイプに置き換えたりする工夫も役立ちます。

主食を極端に減らすのではなく、脂質の多いおかずを見直すことが、脂質制限ダイエットを続けるうえでのポイントです。

朝食の内容を見直すことも、1日のエネルギーバランスを整えるうえで役立ちます。具体的な朝食メニューについては、痩せる朝食とは?医師が教える朝ごはんの選び方でも解説しています。

避けたい食品と選びたい食品

脂質制限ダイエットでは、脂質の多い食品を把握しておくことも大切です。揚げ物、脂身の多い肉、生クリームを使った菓子、スナック菓子などは脂質量が多くなりやすい食品です。

一方で、野菜や海藻、きのこ類、脂質の少ない魚介類、大豆製品などは、脂質を抑えながらも栄養バランスを整えやすい食品です。

脂質をすべて悪者にするのではなく、青魚に含まれるDHAやEPAなど、体に必要とされる脂質は適度に取り入れることが望ましいとされています。

無理なく続けるための期間の目安

脂質制限ダイエットは、短期間で大きな変化を求めるよりも、数週間から数カ月単位で少しずつ食習慣を整えていく方が、体への負担を抑えながら続けやすいとされています。

体重の変化には個人差があり、生活習慣や体質によって現れ方も異なります。目標体重や期間を決める際は、無理のない範囲で計画を立てることが、リバウンドを防ぐうえでも重要なポイントになります。

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糖質制限ダイエットとの違い

糖質制限ダイエットの特徴

糖質制限ダイエットは、ご飯やパン、麺類などに含まれる糖質の摂取量を抑える食事法です。糖質の摂取を控えることで血糖値の急上昇を抑え、インスリンの分泌を緩やかにすることを目的としています。

脂質制限ダイエットが「エネルギー量の高い脂質」を抑えるのに対し、糖質制限ダイエットは「血糖値を上げる糖質」を抑えるという違いがあります。そのため、肉や魚、油を使った料理は比較的自由に選びやすい一方、主食や甘いものは制限の対象になりやすい傾向があります。

どちらが向いているか

脂質制限と糖質制限、どちらが痩せやすいかは体質や生活習慣によって異なるとされており、一概にどちらが優れているとは言い切れません。

主食が好きでこってりした料理を控えやすい人は脂質制限が、逆に脂っこい料理より甘いものやお酒を控えやすい人は糖質制限が続けやすい傾向があります。

外食が多い方や自炊が難しい方は、どちらの方法も食品を選ぶ手間がかかるため、無理なく続けられる方法を選ぶことが大切です。自己流の食事制限に不安がある場合は、医療痩身と自己流ダイエットの違いを踏まえて検討するのも一つの方法です。

なお、脂質と糖質のどちらか一方だけを極端に減らすのではなく、たんぱく質を含めた3大栄養素のバランスを意識しながら調整していくことが、長く続けるうえでのポイントとされています。


脂質制限ダイエットのメリット

脂質制限ダイエットには、いくつかのメリットがあります。

まず、脂質はエネルギー量が高いため、揚げ物やこってりした料理を控えるだけでも、摂取エネルギーを比較的大きく抑えやすい点が挙げられます。ご飯やパンなどの主食を大きく減らす必要がないため、炭水化物が好きな方には続けやすい方法といえます。

また、脂質の多い加工食品や菓子類を減らすことは、脂質異常症をはじめとする生活習慣病の予防にもつながる可能性があります。

外食する際も「揚げ物を避ける」「ドレッシングを控えめにする」といった判断がしやすく、コンビニなどでも脂質量の表示を確認しながら選びやすい点もメリットの一つです。

食品パッケージの栄養成分表示を確認する習慣がつくことで、脂質だけでなく糖質や塩分など、他の栄養素にも自然と意識が向くようになる点も、副次的なメリットといえるでしょう。


脂質制限ダイエットのデメリット・注意点

脂溶性ビタミン不足のリスク

脂質を極端に減らすと、ビタミンA・D・E・Kといった脂溶性ビタミンの吸収が悪くなることがあります。これらのビタミンは、皮膚や粘膜の健康、骨の代謝などに関わっているため、不足すると体調に影響が出る場合があります。

リバウンドや栄養バランスの乱れ

脂質を極端に制限しすぎると、満足感が得られにくくなり、反動で食べ過ぎてしまうことがあります。

また、脂質を減らす代わりに糖質の多い食品を選んでしまうと、結果的に摂取エネルギーが増えてしまうケースもあります。外食やコンビニ食が多い方は、揚げ物を避けても、その代わりに丼ものやパスタなど糖質の多いメニューを選んでしまい、栄養バランスが偏りやすくなる点にも注意が必要です。

極端な制限による体調不良

短期間で大きく脂質を減らすと、便秘や肌の乾燥、月経周期の乱れなど、体調に変化が現れることもあります。

体調に違和感を覚えた場合は、無理に制限を続けず、医師に相談することも検討しましょう。

特に、もともと痩せ型の方や成長期の方、妊娠・授乳中の方が自己判断で大幅な脂質制限を行うと、必要な栄養素まで不足してしまう恐れがあります。持病がある方や体調に不安がある方は、始める前に医師へ相談しておくとより安心です。

食事制限は、方法を問わず自己流で極端に行うとリスクを伴います。他の食事制限方法の注意点として、断食ダイエットの種類・効果・やり方もあわせて確認しておくと、無理のない範囲でダイエットを続けやすくなります。

極端な食事制限に不安がある方へ
脂質制限を自己流で行うと、栄養バランスが偏ったり、リバウンドにつながったりすることもあります。MBDクリニックでは、管理栄養士による栄養指導と医師の診察を組み合わせ、無理のない食事改善をサポートしています。※効果や体調の変化には個人差があります。
▶ 栄養指導について


脂質制限ダイエットで結果が出ない・停滞する理由

脂質制限ダイエットを続けているのに体重が減らない、途中で停滞してしまうという場合には、いくつかの原因が考えられます。

まず、脂質を減らしていても、間食やジュース、お酒などから糖質を摂りすぎていると、結果的に摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ってしまうことがあります。

脂質だけに注目するのではなく、1日の食事全体のエネルギーバランスを見直すことが大切です。

また、皮下脂肪は落ちにくい脂肪としても知られており、食事の工夫だけでは変化を感じにくい場合もあります。皮下脂肪はなぜ落ちない?原因と効果的な落とし方を理解しておくと、対策を考えるうえで参考になります。

体質や代謝、ホルモンバランスなどが影響しているケースもあるため、食事の工夫だけでは結果が出にくいと感じる場合は、体の状態を医学的に確認することも一つの選択肢です。

睡眠不足やストレスも、食欲をコントロールするホルモンの働きに影響を与えることがあるとされています。食事の内容だけでなく、睡眠時間や生活リズムを見直すことも、停滞期を乗り越えるうえで役立つ場合があります。


医療の視点から見る痩身へのアプローチ

脂質制限や糖質制限といった食事の工夫は、日常生活の中で取り入れやすい方法ですが、体質や生活背景によっては、思うように結果が出ないこともあります。

医療機関でのダイエットでは、体組成分析や問診をもとに、痩せにくさの原因を医学的に確認したうえで、食事指導や治療を組み合わせていく点が、自己流の食事制限との違いとして挙げられます。

たとえば、GLP-1受容体作動薬などを用いる治療では、食欲や代謝のコントロールをサポートしながら、管理栄養士による栄養指導を組み合わせることで、無理なく食習慣を見直していく方法もあります。なお、お薬には副作用や個人差があるため、使用にあたっては医師の診察のもとで検討することが前提となります。

自己流のダイエットで結果が出にくいと感じている方は、正しい痩せ方とは?痩せない原因と結果を出す方法も参考にしてみてください。

体質や生活習慣に合わせたアプローチを考えることは、リバウンドをしにくい体づくりにもつながります。食事制限だけに頼らず、必要に応じて医療のサポートを取り入れることも、選択肢の一つとして知っておくとよいでしょう。

治療を始める際は、体組成計による測定結果や普段の生活習慣をもとに、医師と管理栄養士がそれぞれの立場から状態を確認したうえで、プランを提案する流れが一般的です。契約を急かされることに不安を感じる方もいますが、その場での契約を求めず、持ち帰って検討できるかどうかも、医療機関を選ぶ際の一つの目安になります。

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まとめ

脂質制限ダイエットは、脂質のエネルギー量の高さを利用して摂取エネルギーを抑える食事法で、主食を大きく減らさずに取り組みやすい方法の一つです。一方で、極端な制限は脂溶性ビタミンの不足や栄養バランスの乱れにつながることもあるため、量と質のバランスを意識することが大切です。

糖質制限ダイエットと比べてどちらが向いているかは、体質や生活習慣によって異なります。自己流の食事制限で結果が出にくいと感じる場合は、医学的な視点から痩せにくい原因を確認することも、選択肢の一つとして検討してみてください。

どの方法を選ぶ場合も、極端な制限を続けるのではなく、日々の食事内容を記録しながら少しずつ調整していく姿勢が、無理なく食習慣を変えていくための土台になります。


この記事の監修医師

MBDクリニック監修医 / 医療法人社団東美会 理事長:麻生 泰医師

【経歴】
医療法人社団東美会 理事長
兼 東京美容外科 統括院長

慶應義塾大学 医学部大学院 医学博士号取得
日韓美容医学会学会長
日本形成外科学会
日本美容外科学会
日本マイクロサージャリー学会
日本抗加齢医学会

個人プロフィール

医療ダイエット監修医 麻生泰医師
医療ダイエット監修医 麻生泰医師